フルオレMIX

後から読み返して赤面するために書いています。メイクでブスの悪あがきをしている。

普通じゃないからといって、

同僚に「こんな題名の本、見つけたんだけど知ってますか?」と話しかけられた。

こだま著 『夫のちんぽが入らない』

夫のちんぽが入らない (講談社文庫)

夫のちんぽが入らない (講談社文庫)


すごいタイトルだって思う人が大半でしょう。
そして、タイトルでぶち上げて中身普通、ってこともない。ただただタイトル通りの人の人生の一部を淡々と綴っているエッセイ本。

わたしはこれを、単行本とKindle版の2種類取り揃えているくらい大切にしている。
単行本は、人に貸すため。そのくらい、読んでほしい。
Kindle版は思い立ったらいつでも読めるように。そのくらい、なんども読みたい。

何度読んでも泣けてきます。
普通に、ただ普通に生きようとしたけれど普通に生きられなかった人の話。
でも、そもそも「普通」ってなんなんだろうね。と考えたくなる。

著者は感情がほぼ描かれていない、エッセイ本だと思う。出来事だけが淡々と描かれている。
感情は読んだ人がそれぞれ彩っていく。これのどこかに怒りを覚える人もいるだろうし、悲しい気持ちになるだろうし、ちょっと笑って読む人もいるのかもしれない。それら全てを著者は受け止めるんじゃないか、なんとなくそんな気もする。

読んでいて胸が痛くなる出来事もあるし、ちょっと微笑ましく思う出来事もあるし、「なんでそんなことに」ってくらい悪い方向へと転がっていく出来事もある。
とても壮絶にも感じられる一方で、全く共通点はないのに自分のことのような気もしてくる不思議。
この本の感想を読んでいると、この内容はとてもよくみかけた。
みんなどこかで「普通」に縛られて、苦しんだことがあるからかもしれない。

普通じゃなくていいんだ!と元気付けられる内容は一切ない。辛い出来事が多め。
なのに、最後はほんのりと胸が暖かくなる。わたしは好きだ。
面と向かって批判されなくとも、なんとなく周りからの目線が気になっちゃう場面は多々あるけど、きっとそれはみんな抱えてること。1人じゃない。ぼちぼち頑張れるよね。

また読み返したくなった。明日、わたしは同僚の希望で、この本を彼女に渡す。同じ気持ちになってくれたら嬉しいなと思いながら。

わたしが持っているのはこっち。
文庫も買おうかな、あとがき違うみたいだし……

夫のちんぽが入らない

夫のちんぽが入らない


ここは、おしまいの地

ここは、おしまいの地

こだまさんの二作目。こちらもとても好き。また感想まとめたい。